「子供が暴力から自分を守るための教育プログラム」(CAP)について

   元になった資料のリンク先:埼玉県議会一般質問発言項目・平成12年12月13日(水)

畠山 清彦氏(公明) 私は、21世紀を女性と子供たちの笑顔が広がる世紀にしなければならないと考えます。
 どうすれば21世紀を非暴力の世紀にできるか。そのためには、身近なところから暴力被害をなくすことを始めなければなりません。
 「凍りついた目が見つめるもの」という題の本があります。虐待を受けた子供が、大人になってからつづった手紙を編んだ本です。余りにも生々しい虐待の実態に胸が締めつけられました。手紙で多くの人が訴えているのは、トラウマと呼ぶ心的外傷の深刻さと虐待の連鎖への恐怖です。
 カナダのオンタリオ少年院では、性犯罪を犯した加害者の80から91パーセントが、過去に虐待を受けた経験があるとのデータがあります。虐待を受けた人が、すべて虐待を繰り返すわけではありませんが、世代を越えた連鎖の輪を断ち切らなければなりません。
 その取組の一環として、現在、東京や大阪を中心に、子供の権利という視点に立って、子供のエンパワメント、内なる力を引き出しながら、CAP、すなわち子供が暴力から自分を守るための教育プログラムが、学校現場で取り入れ始められております。
 過日私は、杉並区立永福小学校で、PTAと区教委の共催で開かれた保護者のためのワークショップに参加しました。CAPでは、子供たちに行う前に、必ず保護者のための講演会を行います。
 内容は、CAPプログラム及び子供への暴力の説明、被害に遭った子供の心理状態、誰にでもできるクライシス・カウンセリングでした。子供の権利というと、子供が無責任になる、わがままになると受け止める人もいますが、それは違います。CAPでは、誰からも奪われない権利というのは、誰のものも奪ってはならないという責任が伴うことをまずきちっと教えていて、すばらしいと実感しました。また、カウンセリングでは、普段の子育てにも役立つ貴重なアドバイスがありました。
 その後、葛飾区に赴きました。ここは、全国で初めてCAPを授業で行っています。本年度は315万円の予算で、区立小学校の7割に当たる34校が実施しております。
 修了1か月後のアンケートを読ませていただきましたが、「いじめてくる友達に嫌だと言ったらやめてくれ、けんかをあまりしなくなった」「自信が持てるようになった」「勇気がわいてきた」などと、大変効果が上がっていることが分かりました。
 お母さんからも回答がありました。その中の1枚に、「自分も子供のころ虐待を受けていた。このプログラムを身に付けていたら自分も防げたかもしれない」と書いてあったのです。
 トラウマは、事件を自ら表現し、人生の一部分として受容できたとき、克服したと言えるそうです。私は、1枚のアンケート用紙に人生を見た思いがしました。大阪府もこのような取組を始めており、私は、本県も是非、子供が暴力から自分を守るための教育プログラムを市町村と共同で実施すべきと考えますが、教育長に今後の取組をお伺いいたします。

 




桐川 卓雄教育長   児童虐待やいじめなど、子供たちを取り巻く状況は極めて憂慮すべきものがあり、各学校においては、教育活動全体を通して人権尊重の精神や思いやりの心の育成に努めているところでございます。
自分を守る力を身に付けさせるための手法などを採用したCAPプログラムを学校教育に導入するに当たりましては、プログラム実施には有料の専門インストラクターが必要であり、そのインストラクターの数も限られているなど、課題も多いとお聞きしております。
 しかしながら、議員お話しのプログラムを実施することにつきましては、大変意義あるものと考えておりますので、県といたしましては、直ちに他県での取組状況や県内の市町村の現状を調査し、その成果を把握するとともに、教員のカウンセリング研修会や生徒指導担当者会議などにおいて、積極的に情報提供に努めてまいりたいと存じます。


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