同志社女子大学嘱託講師 新井晋司さんのHP http://member.nifty.ne.jp/arai-s/から新井さんのご厚意により転載しました。ご協力有り難うございます。<板谷麻生>

『御直披(おんちょくひ)』

板谷利加子著 1998年角川書店 1200円+税

従来、性暴力の被害者にたいする警察の対応は冷たく、心ない警察官の一言などによって、2次的な苦痛(セカンド・レイプ)を被ることが多々ありました。
著者は、’96年から神奈川県警の性犯罪捜査係長となり、そのような状況を改善しようとしているパイオニア的存在。
本書は、被害者と板谷さんとのあいだにかわされた手紙というかたちをとっており、被害者の方々への心優しいメッセージになっています。
警察に被害を訴えようかと悩んでいる方は、本書を手に取ってみては。
書末に、各地の被害電話相談(警察関係)の一覧有り。
『心を殺された私』

緑河実紗著 1998年河出書房新社 1300円+税

1998年は、上の『御直披』とともに、レイプに関する貴重な2書が出版された年となりました。
緑河さんのこの本は、レイプされた女性による貴重な証言。胸を打たれます。
90年代になって、ようやく女性自身が自分の経験を公表できるようになったのです。
性暴力の克服は、21世紀の私たちの課題であると、気づかされた1冊です。
『もし、強姦の被害にあったら』

東京・強姦救援センター
1997年東京・強姦救援センター 600円

強姦されたばあいの対応を記した実践的なリーフレット。心理、医療、法律にわたって解説されている。
同リーフレットは、同女図書館・指定図書室(1F受付後ろ)の自然科学史の棚にある「性暴力関連ファイル」という黄色ファイルのなかにあります。
電話相談もしているので、同リーフレットを参照して下さい。
『サバイバーズハンドブック
−性暴力被害回復への手がり−』

性暴力を許さない女の会編著
1999年新水社 1400円+税

目次が横書き、本文が縦書きという変な本だけど、内容はかなりお奨め。
ともかく平易で、被害者の立場にきちんと立っているのが好感が持てる。
性暴力も、強姦、児童虐待、セクハラ、キャンパス・セクハラ、痴漢、ストーカー、ドメスティック・バイオレンスとすべてを射程に入れているのがみごと。
病院、警察、裁判、心のいやし、強姦神話、周囲の人や恋人へのアドバイス、カウンセリングや精神科、護身術、お役立ちブックリストと、丁寧なアドバイスと実践情報がきわだつ。
福岡SA研究会資料No.1〜5

福岡SA研究会 1996年〜1999年  各600円〜1200円

福岡SA研究会は、性被害を受けた女性みずからがお互いに助け合う自助グループ。性暴力による心の傷の癒しには、自助グループが有効だといわれますが、その数はまだ少ない。
5冊の資料はどれもが、被害者自身かそのサポートにはいった人が書いたもの。心の傷からどう立ち直るか、また周囲の人はどうサポートしたら良いかなどが具体的に書かれてる。
同資料は、同女図書館・指定図書室(1F受付後ろ)の自然科学史の棚にある「性暴力関連ファイル」という黄色ファイルのなかにありますから、手に取ってみてください。NO.4の最後には、各地の相談窓口の一覧有り。
同会は、直接参加したり、手紙やFAXで、悩みや苦しみを話したり、聞いたりすることができます。
図書館へ行けない方で、同資料を入手したい方は、次のメールアドレスへ連絡してみてください。  satoshi@isc.kyushu-u.ac.jp
『心的外傷と回復』

ジュディス・L・ハーマン著 1996年みすず書房 1600円

レイプ、児童虐待、ホロコースト、戦争体験などによる心的外傷・トラウマについて書かれた専門的な書。値段も高く、厚い本ですが、すばらしいと評価が高い。わたしも感心させられた。部分的にでも読んでみては。
『犯罪被害者の心の傷』

小西聖子著 1996年白水社 1800円+税

著者は犯罪被害者のカウンセリングを専門におこなってきた。
トラウマや犯罪被害の精神的な後遺症についてわかる。良書。
犯罪被害者の相談を、東京医科歯科大学の犯罪被害者相談室がおこなっている。同相談室を訪れる人のうち、性暴力の被害者の相談が一番多いという。適切な情報が得られるのではないかと思う。
書末に、同相談室の電話相談の番号が記載されている。
『インパクト・オブ・トラウマ』

小西聖子著 1999年朝日新聞社 952円+税

今や流行語になったトラウマについて、わかりやすく解説しており、最初に読むには手頃かも。強姦、ドメスティック・バイオレンスにも、わかりやすく言及している。
『いや』自立生活ハンドブック・7

全日本手をつなぐ育成会 1998年 600円(送料込み)

近年、知的障害者への性暴力事件が、相次いで明るみに出た。
知的障害者への性暴力もまた、なくしていかなければならない。
このハンドブックは、知的障害のある人に、自己主張の大切さや、虐待や性的暴力から身を守るために「ノー」ということの大切さを、呼びかけている。
『伝えてくれてありがとう 2 』

性暴力と医療をむすぶ会編 1998年 2500円(送料込み)

被害を受けて病院に行くと、診察や検査の過程で、さらに2次的な苦痛(セカンドレイプ)をこうむることも多い。本書は、そのような状況をかえようとして企画された。
性被害について、医療側がどう対応すべきか細かに書いてある。
『女たちの便利帳2』

教育史料出版会 1998年 2800円+税

カウンセラー、相談窓口、お店、市民グループ、治療院、弁護士など、女性を支援するための情報が、各県ごとに記載されている。性暴力に関する情報もある。
以下は、おもに子どもの性的虐待に関連する文献が中心です。
上記の文献中にも関連のものがあるので(たとえばトラウマに関してなど)、そちらも参見してください。
特に、レイプや虐待によって生じるトラウマ(精神的な後遺症)に関しては、専門書で内容も難しいのですが、上の『心的外傷と回復』が、すぐれて重要です。
この本が難しすぎるなら、上記の小西聖子さんの2書から、読んでみてはいかがでしょう。
トラウマについては、最近、わかりやすい本が他にも出ているようです。
『生きる勇気と癒す力−性暴力の時代を生きる
女性のためのガイドブック−』

エレン・バス / ローラ・デイビス著
1997年三一書房 5500円

子供時代に性的に虐待されたり、性暴力の後遺症を持つ人が、どうやって心の傷を癒し回復するかについて、具体的かつ実践的な方法が載っている。
成人で性暴力の被害を受けたばあいにも役立つ。
また、家族・恋人・友人が、被害者に対しどんな支援ができるか、どう接したらよいかを、第4章で述べている。
書末に、参考文献と自助グループ・援助機関の一覧あり。
『子どもと暴力』 森田ゆり著 1999年岩波書店 1800円+税
子どもへの暴力や性虐待については、まず最初にこの書を読むと良いでしょう。感情的にならずに、最新のデーターを冷静に引用しながら書かれており説得力がある。
『子どもの虐待』 森田ゆり著 1995年岩波ブックレットNO.385 440円+税
薄い本だが、子どもの虐待についてよく理解できる。虐待された子どものサポートの仕方である「緊急カウンセリング」や「エンパワメント」の思想は、ぜひとも大勢の人に知ってほしい。
「緊急カウンセリング」は、その方法を理解すれば、専門家でなくとも、一般人でもできます。また、大人の性的被害者をサポートするときにも応用できます。
書末に、サポート・グループの一覧あり。
『子どもの愛し方がわからない親たち』

斉藤学著 1992年講談社 1650円+税

日本の児童虐待の現状について。性的虐待も含む。
児童虐待はたしかに存在し、それを防止するためには、ひろく世間一般の関心が注がれるようにならなければなりません。一読を奨めます。
『子どものトラウマ』

西澤哲著 1997年講談社現代新書 640円+税

子どもへの虐待とその心の傷について。傷ついた子と親の心の回復を説く。
『沈黙をやぶって
−子ども時代に性暴力を受けた女性たちの証言−』

森田ゆり編著 1992年築地書館 2000円+税

おそらく日本で初の性被害者の証言集。本書の後半は、子供への性的虐待の解説と、その癒しについて述べられている。
書末にサポート・グループの一覧あり。
『甦る魂−性暴力の後遺症を生きぬいて−』

穂積純著 1994年高文研 2800円

おそらく日本ではじめて近親姦(家庭内性暴力)の体験を、みずから本として出版した記念碑的な本。
『解き放たれる魂−性虐待の後遺症を生きぬいて−』

穂積純著 1999年高文研 3000円

上記の『甦る魂』の続編。著者は、性的虐待による後遺症を理由に、裁判を通じて姓名の改正を勝ち取った。
『誰にも言えなかった』

エレン・バス+ルイーズ・ソーントン共編、森田ゆり訳
1991年築地書館 1700円

アメリカの子供時代に性暴力を受けた19人の女性たちの体験記。
本書のオビに「心理学者より、セラピストより、犯罪学者より、誰よりも性暴力の被害を受けた人こそが、性暴力の本質をもっともよく知っているのです」とある。その通りだ!
『あなたが悪いのではない
−子ども時代に性的虐待を受けた女性たちをカウンセリングする−』

リンダ・ジンガロ著
1996年 木犀社 1500円

著者は、カナダ在住のフェミニスト・カンセラー。
本書は、1995?年に、大阪でおこなわれた講義をまとめたもの。
子供時代に、性的虐待を受けた女性をカウンセリングするための書だが、子どもに関わる人、親、教師、被害者、サバイバーなど、多くの人に役立つ。
『子どもの性的虐待サバイバー
  −癒しのためのカウンセリング技法−』

クレア・バーク・ドラッカー著
北山秋雄・石井絵里子共訳
1997年 現代書館 2500円+税

本書は、欧米の大学の教材。子供時代に性的虐待を受けたサバイバーをカウンセリングするための書。回復のプロセス、留意点などわかりやすく解説されていて、一般人が読んで役立つ箇所がある。
◎洋書ですが、 サバイバーの女性をパートナー(男性)が支えるためのガイドに、次の書もある。
      著者 Davis, Laura 
      書名 Allies in Healing : When the Person You Love Was Sexually Abused
         as a Child
      出版社 Harper Collins (ニューヨーク)
      出版年 1991年
 

下記の4点は、子供に、性的虐待から身を守る方法や、性被害から立ち直るた
めの方法を伝える絵本と、その教則本(親や教師の手引き)。すべて木犀社刊。

『わたしのからだよ!』

ロリー・フリーマン文 キャロル・ディーチ絵、 田上時子訳
1997年? 木犀社 388円

『「わたしのからだよ!」教則本』

ジェニー・ハートロッシ著 田上時子訳
木犀社 582円

『ライオンさんにはなそう』

パトリシア・キーホー文 キャロル・ディーチ絵
田上時子訳 木犀社 485円

『「ライオンさんにはなそう」教則本』 パトリシア・キーホー著、田上時子訳 木犀社 680円

以下は、やや古いものや小説、関連の文献などです。

『ザ・レイプ』

落合恵子著 1983年講談社 890円

小説。下記の『ドキュメント性暴力』とともに、80年代に性暴力を問題提起した書。
『ドキュメント性暴力』

 宮淑子

『レイプ・男からの発言』 ティモシー・ベイネケ 1988年筑摩書房 1600円
レイプについて、普通の男性からレイピストや捜査官まで、27人の男性が率直に語っている。レイプにたいする男性の考え方も、さまざまだとわかる。
日本でも、このように男性がレイプについて率直に語る本を出したいね。
ちくま文庫にも入っているが、'99年現在品切れ。
『レイプ・クライシス−東京・
     強姦救援センター連続講座−』

東京・強姦救援センター編
学陽書房 1500円(税込)

同センターは、1983年に、日本ではじめて設立された強姦救援センターで、電話相談を主な活動とする。本書は強姦告発の書で、強姦は女性全体に仕掛けられた暴力という。80年代の総決算的な書かも。まだこの時期は告発が中心で、被害者の心の傷を癒すことがテーマになるのは、90年代以降のことのようだ。1999年現在品切れ。
『真昼の月』

遊川和彦著 ワニブックス

戦争時におけるレイプ

『慰安婦と戦場の性』

秦 郁彦 1999年新潮社 1600円+税

従軍慰安婦問題については、いろいろ書籍もでていますが、ここでは上記の1冊あげておきます。
「戦場のレイプ」

映画 1996年ドキュメンタリー・フィルム・ライブラリー

旧ユーゴスラビア内戦などで起こったレイプ犯罪のドキュメンタリー。

 
性暴力によって生じた心の傷の回復に役立つと思われる本について、あくまで私見で、読書案内を試みてみたいと思います。
あくまで私見なので、自分や被害者やサバイバー(性暴力の生存者)に合わせて、情報を選択してください。

もっともすぐれているのは、『心的外傷と回復』です。
専門書で、はじめて読むには難しいのですが、すぐれた本です。

『心的外傷と回復』が難しいのならば、最初に、「福岡SA研究会」の資料1と4を、手にしてみてはいかがでしょう。
とくに、資料1は、家庭内性暴力から立ち直ったサバイバー自身が書いた回復の手引きなので、同じ体験をしている人を勇気づけてくれると思います。

回復について、もっとも実践的で、具体的なのは、『生きる勇気と癒す力』です。
本書の存在を知らないのなら、ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょう。
家族や恋人が、被害者やサバイバーを、どのように支援をしたら良いかも載っています。

また、『あなたが悪いのではない』、『沈黙をやぶって』、『誰にも言えなかった』、『甦る魂』も役立つと思います。

上記の本は、子どもの性的虐待を中心に述べたものが多いのですが、それらは成人がレイプされたときにも役に立つと、私は思います。

 最後に、なによりも、「自分が回復の主人公」であることをお忘れなく。

                          同志社女子大学嘱託講師 新井晋司

 


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